職業訓練の講師として訓練生の就職活動を支援する中で、多くの成功例・失敗例を見てきた。
本サイトのメイン記事である、プログラマーやWebデザイナー目指すなら職業訓練はやめとけにも記載しているとおり、未経験から職業訓練を受講しただけで、プログラマーとして転職出来る例は非常に少ない。
たとえ、優秀な人材であってもだ。
今回は、その一例を紹介したい。
また、未経験者の方に有効な民間サービスを、以下の記事で詳しく紹介しているので就職活動の際に参考にして頂きたい。
「未経験者がプログラミング研修(無料)と求人紹介を受けられるサービス」
「プログラマー育成講師がおススメする!転職エージェント3社」
30代男性、営業職よりプログラマーへ転職を希望
当時、Web系のプログラミング言語を習得するための6ヶ月間の職業訓練を担当した。
20名のクラスで、プログラミング経験者は2~3人程度。
標準的なクラスだと思う。
その中で、30代中頃の男性(仮にA氏と呼ぶ)がいた。
プログラミング系の職業訓練は、年齢制限(概ね35歳まで)を設けていることが多い。
今回担当した訓練も、35歳までで募集をしており、A氏は年齢的にギリギリ。
もちろん、クラスでは最年長だった。
勉強熱心なA氏は、クラスのリーダー的存在に
しかし、A氏は非常に呑み込みが早く勉強熱心だった。
最初はスキル不足ではあったが、本人の努力が目覚ましく、次第にクラスの中でも上位の成績になってきた。
聞けば、自宅でかなり学習をしたらしい。
結婚して小さな子供もいると聞いていたので、かなり大変だったろう。
前職までは、ずっと1つの会社で営業職をしていたと言う。
しかし、プログラマーになりたいという夢が強く、家族を説得して転職を決意したのだという。
私も家庭があるので、よほどの覚悟で挑んできたのが分かる。
A氏は営業職経験者というだけあり、周囲とのコミュニケーションを取るのが上手だった。
年長者であり、クラスの盛り上げ役であり、勉強熱心な彼は、皆に慕われて頼られていた。
1つのプロジェクトをチームで遂行するときは、リーダーとなりチームを引っ張った。
A氏のお陰で、訓練はスムーズに進行していった。
就職活動となると、未経験と年齢が大きなネックに
だが、いざ就職活動となると、A氏の不利は明らかだった。
一番に就職が決まったのは、20代前半の若い男性だった。
前職でプログラミングの経験があり、20代前半という将来性を考えると当然と言えよう。
しかし、この若い男性は日ごろの素行が良かったとは決して言えない。
遅刻や居眠りも多く、勉強熱心でもなかった。
A氏と同じプロジェクトチームの彼は、A氏を一番頼り(甘えていたとも言える)、迷惑をかけていたのも彼だ。
訓練生の就職が決まることは、とても喜ばしいことである。
しかしA氏の様子を見ていると、複雑な気持ちになった。
就職活動の結果
A氏は、就職活動も積極的に努力した。
県内はもちろん、県外へも積極的に足を運び、何度も採用面接を受けた。
私自身も、紹介出来るツテは全て使って支援したつもりだ。当時勤務していた会社の上司にも推薦したほどだ。
しかし、当時からマイナビやリクナビといった転職サイトはあったが「IT専門転職エージェント @PRO人(アットプロジン)」のように、IT未経験者にも積極的に求人を紹介してくれる就職サポートサイトは無かった。
何度も採用試験に落ちるたびに、彼の表情がこわばっていくのが分かった。
訓練が終了後、なんとかして彼を就職させたいと思い連絡を取り続けたが、電話もメールも連絡が取れなくなってしまった。
半年以上経ったあとに、A氏からメールが届いた。
音信不通になったお詫びと、生活の為に前職の営業職に戻ったという報告だった。
家庭があり、不採用が続き、収入が無いことに怯えながらの就職活動は、相当な不安だったと思う。
A氏の力になれなかった事を、今でも残念に思う。
このことが、今回の記事を書くきっかけになった。
未経験でも、30代でも、やる気にあふれ努力家で、優秀な人材はいる。
そういった人材が、プログラマーとして活躍出来るように願い、このサイトを立ち上げるきっかけにもなった。
今も厳しい状況に変わりはないが、未経験者がプログラマーとして転職するためにはチャンスであると思う。
一人でも多くのやる気のある人材が、ITスペシャリストとして活躍できるよう願っている。
また、未経験者の転職成功例として未経験からのプログラマー転職【転職成功例(1)】と、未経験からのプログラマー転職【転職成功例(2)】を掲載している。
成功者の行動から、何かヒントをつかんで欲しい。