職業訓練の講師として訓練生の就職活動を支援する中で、多くの成功例・失敗例を見てきた。
本サイトのメイン記事である、プログラマーやWebデザイナー目指すなら職業訓練はやめとけにも記載しているとおり、未経験から職業訓練を受講しただけで、プログラマーとして転職出来る例は非常に少ない。
ただ、その中でも全くの未経験でプログラマーに転職成功出来た例もある。
転職に成功した人は、プログラムやITの知識に長けているとは限らない。
共通する点は、積極的に情報を収集し、行動力に優れた人間であるように思う。
今回は、そんなB氏の成功事例を紹介する。
また、未経験者の方に有効な民間サービスを、以下の記事で詳しく紹介しているので就職活動の際に参考にして頂きたい。
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目次
工場勤務から未経験のプログラマーへ転身
Javaを中心としたプログラミングを学ぶ職業訓練に入校してきた20代男性(仮にB氏と呼ぶ)。
恥ずかしがり屋のB氏は、当初周囲と打ち解けることが出来なかった。
本人に聞けば、自分が工場勤務の経験しかなく、パソコンの知識も乏しく、授業に遅れがちなため引け目に感じていたとのこと。
確かに、このクラスは比較的若い人が多く、経験者も多かった。
ただ、B氏はコツコツと努力を重ねて成績もぐんぐん伸びて行った。
企業実習に参加
B氏が参加した訓練は、5ヶ月間でITの基礎からプログラミングを学び、1ヶ月間の企業実習を経て就職していくトータル6ヶ月間の訓練である。
プログラミング系の職業訓練には、企業実習がセットになっている訓練も多い。
その名の通り、実際のIT企業に出向きレクチャーを受けたり、仕事の手伝いが出来る。(内容は訓練コースや企業実習先により、かなり幅がある)
企業実習付きの職業訓練の良いところは、実際のIT企業(プログラミング)の仕事を実体験できることはもちろん、企業実習先にそのまま就職出来る可能性もある。
実習先の企業によっては、良い人材がいたら採用するつもりで訓練生を受け入れてくれる企業もある。訓練生にとっては、大きなチャンスだ。
(もちろん、「実習だけ受け入れましょう」と割り切っている企業もあるので、学校によく確認した方が良い)
ただ、B氏が向かった実習先は、今まで訓練生からの採用実績は無く、「実習だけ受け入れる」割り切った会社であった。
企業実習で、とにかく積極的に仕事をこなした高評価
B氏が企業実習に行っているとき、実習先企業の担当者と挨拶をする機会があった。その時に、担当者の方がB氏を絶賛してくれたのを覚えている。
B氏のスキルや知識をほめてくれたわけでは無い。訓練の授業内容は優秀だったが、IT企業の実務で褒められる仕事が出来る力はまだ無かった。
恥ずかしがり屋だと思っていたB氏は、実習先で大きな声で挨拶をし、掃除などの雑務も積極的にこなし、分からないところはまず自分で考え、先輩に聞く場合は要点を整理して質問をしていた。
そういった点を、担当者の方が絶賛してくれたのである。
その後、B氏は実習先企業に採用が決定し、現在も活躍している。
B氏が正攻法で、その企業の採用試験を受けたとしても、100%不採用になっただろう。それも一次試験の書類選考で。
B氏が何事も、全力で誠実にチャレンジしていたからこそ掴めたチャンスであった。
営業職からプログラマーへ転職成功事例
6ヶ月間のプログラマー養成職業訓練を受講したF氏は、営業職として活躍していた人材だけあり、周囲とのコミュニケーションに長けていた。
学生時代からプログラミングは好きで、自分でゲームを作って楽しんでいたそうだ。
ただ、20代後半という年齢と、IT業界は全くの未経験というのがネックであった。厳しいようだが、30代になるとIT業界への転職は非常に厳しくなる。
F氏は優秀で好人物であったが、20代後半はギリギリ。就職活動は難航するだろうと心配していた。
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採用試験に30社以上落ち続けるF氏
私はF氏に、20代後半~30代でのプログラマーへの転職が非常に厳しい現状を話してきた。
そういった話をすると、多くの方が嫌な顔をする。当然だ。あなたの年齢では夢をかなえることが厳しいと言われて喜ぶ人がいるわけはない。
ただ、現状をしっかり把握して、問題への対策を整えて就職活動に挑むのと、何も知らずにぶち当たっていくのとでは全然違う。
そのため、嫌な顔をされても現状を話し、一緒に対策が出来るようにしている。
F氏は、とにかく行動力に優れていた。
応募書類(履歴書・職務経歴書)は入念に時間をかけて作成し、何度も添削して欲しいと私のもとへ持ってきた。
未経験者なので、仕事の実績はアピールできない。
その代わり、職業訓練で作成したプログラムや、自宅で作成したプログラムを就職活動用として作り替え、アピール用の題材とした。
当初、F氏は地元で働きたいとの気持ちが強かったが、地方ではIT企業の求人が圧倒的に少ない現状をいち早く理解し、週末になれば都市部へ出かけ情報収集や採用面接に出かけた。
書類選考を含め30社以上、落ち続けたと言う。
それでもF氏は諦めなかった。
内定を2社受ける
もちろん、「マイナビエージェント」や「IT専門転職エージェント @PRO人(アットプロジン)」などの登録出来る転職サービスはフル活用していた。派遣でもアルバイトでも良いから、とにかくプログラマーとして働きたい!という彼の熱意はすごかった。
結局、転職サービス会社の紹介を受け、正社員として1社、アルバイトとして1社の内定を受けることが出来た。
普通なら正社員を選ぶところ、彼はアルバイトとして採用される道を選んだ。現在は、正社員として再雇用されているそうだ。
未経験者であっても、F氏のように諦めずに情報収集し、あらゆる手を尽くして前向きに努力すれば転職の可能性は高くなって来ると思う。
ただ、誰もがF氏のようにタフに活動できるわけでは無い。
通常は、1社落ちただけでも相当ヘコむものである。
一人で孤独に戦わずに、ハローワークや公的就職支援サービス(若年者向けの就職相談施設など)、前述した民間の転職サービスでも相談に乗ってくれるので、悩みすぎることなく気軽に利用して欲しい。
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