システム開発の仕事は、使用するコンピューター環境によって変化する。プログラミングについても、使用する言語はもちろん、開発するシステムやアプリケーションによって系統が幾つか存在する。
未経験者がプロクラマーに転職を考える場合、どのような系統のシステムに関わるのかを、予め考えておくことも大事なことである。今回はその中でも「オープン系」を取り上げてみる。
就職に有利なプログラミング言語を講師が紹介|未経験からのプログラマー転職
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目次
オープン系とは
オープン系とは簡単に言うと、パソコンをベースに開発するシステムの総称である。パソコンより少し性能の良いワークステーションを使うこともあるし、サーバー用のコンピューターと連携して、クライアントサーバー型のネットワークを構築することもある。
オープン系と対比する意味合いで「汎用系」(あるいは「レガシー」)というシステムもあるが、詳しいことは別の機会に譲るとして、従来型のシステムを汎用系とするならば、オープン系は比較的新しいシステムの形といえるだろう。
導入事例も大規模システムよりは、中小規模の業務システムなどが多くなっている。
パソコンベースなので、使用されるオペレーティングシステムは必然的にWindows,UNIX,Linuxなどになる。このように、オープン系の開発環境は、既存のものを使って開発するのが基本となっている。
1990年代に「ダウンサイジング」という言葉が流行したが、大規模な汎用系に対して、コンパクトなシステム構築を目指す意味合いでも、オープン系という言葉は使われている。
結論としてのオープン系
例として、ある会社が新規に業務システムを構築するとなった時、汎用系でシステム構築をするのか、オープン系でシステム構築するのかの違いである。
汎用系は従来型の大型システムで、言語もCOBOLなどの事務処理向けの言語が主になり、現在では少々古めかしい印象は拭えない。
その意味で、新規にシステム構築する場合は、導入コストを考えた場合に、オープン系で構築する傾向にある。だが、汎用系もすでに導入している企業が、従来型のシステムを継続・維持していくために、今後も存続していくだろう。
オープン系で使用される言語とは
主にC言語/C++,Javaなどの言語が主流となっている。これらの言語は比較的、難易度の高い部類の言語に当たるため、特に未経験であれば、よく勉強しておく必要がある。
また、これらの言語をマスターすることができれば、大抵のシステム開発には対応できるようになるだろう。
独学でも習得可能か
どんな勉強でも独学は不可能ではない。ただ、理解を深めるためには、それなりの努力が必要である。特にJavaも含めたC言語系の言語は習得に時間がかかる傾向にあるので、しっかりと取り組んでもらいたい。
オープン系で覚えておきたい言語
ここからは、オープン系のシステム構築をするために必要な言語を紹介していく。難易度や将来性など参考にしていただきたい。
Java
必要度:★★★★☆
難易度:★★☆☆☆
将来性:★★★★☆
プラットフォーム(オペレーティングシステム)を選ばない、一番汎用性のある言語として、Javaはオープンシステムに欠かせない言語と言えるだろう。ほとんどの業務システムに対応できる。学習時間としては、100時間程度が目安といったところだ。
未経験者からすると、けっして易しい言語とは言えないが、豊富な学習書や、プログラミングスクールでも定番コースとなっていることもあり、学習環境は整っている。将来性は既に安定期に入っているので、大きく増えることもないが、今後も継続して需要はあると見込まれる。
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C言語/C++
必要度:★★★☆☆
難易度:★☆☆☆☆
将来性:★★★☆☆
Javaと並んでオープン系のプログラマーがマスターしておきたい言語がC言語/C++だ。C言語は今でも多くのオープン系システムで使われている。
ただしC++はC言語の進化版であるが、プログラミング言語の中でもより機械語(2進数)に近い言語であり、特に習得が難しい言語であるため、途中で挫折しがちな言語でもある。家電製品向けの組み込みシステムなどに関わらない限りは、無理に覚えなくてもよいだろう。
C言語の学習時間についても、こちらも参考書やスクールの利用を考えて、100時間程度は確保しておきたい。C言語系については、C++はゲーム機やハードウエア制御で今後も需要が見込まれるが、オープン系に限って言えば、そう多くはないだろう。
C#
必要度:★★☆☆☆
難易度:★★★☆☆
将来性:★★★☆☆
C#は、C言語系ではあるが、比較的学び易い言語である。C言語やJavaには「オブジェクト指向」というプログラミング概念があるが、それをより簡単に書くことができるように、作られた言語である。こちらの学習時間は60時間程度を見込んでおけばよいだろう。
主にゲーム開発などで使われている言語であるが、オープン系の業務システムにも使用されている。ただし、Windowsがほとんどで、開発の幅が制限されるのがデメリットである。需要面としては、やはりゲーム開発がメインとなる言語なので、オープン系としては多くは望めないだろう。
VisualBasic.NET
必要度:★★☆☆☆
難易度:★★★★☆
将来性:★★☆☆☆
Microsoft社製の言語であるため、開発プラットフォームはWindowsが多くなる。しかしながら、Basic言語がベースとなっているため、その習得の容易さから未経験者には好都合と言える。事務処理系の開発などに汎用的に使えるのがメリットである。
学習時間は40時間程度あれば、未経験者でも基本は理解できるだろう。ただし、需要面は減少傾向にあるので、できたら覚えておいたほうがよい部類に入る。
今後需要が伸びそうな言語
オープン系で使用される言語に特に制限はない。比較的新しい言語が今後、オープン系システム開発に採用される可能性もある。今後、需要が伸びそうな言語を紹介しておく。
Ruby
必要度:★★☆☆☆
難易度:★★☆☆☆
将来性:★★★★☆
国産言語であり、しかも書きやすい言語として海外でも人気の言語である。Web系のシステム開発で多く使われている言語であるが、中規模向けの業務システムなどでも、徐々に採用されていて、今後も需要増加が見込まれている。学習時間は50時間程度あればRubyの基本は理解できるだろう。
処理速度が少々遅い点がデメリットとなるが、Webフレームワークの「Ruby on Rails」の改善も進んでおり、問題は解消されつつある。
Python
必要度:★★☆☆☆
難易度:★★☆☆☆
将来性:★★★★☆
Pythonも最近人気が急上昇中の言語である。Web系やAI開発、ビッグデータ解析の分野での活躍が華々しいが、Pythonもオープン系システムの需要増加の可能性がある。
コードの簡潔さは特筆もので、初心者にも覚えやすい言語というのも魅力的だ。学習時間も50時間程度を見込んでおけばよいだろう。
ただ、まだ国内での需要はさほど多くはなく、これからといったところだが、Rubyと同じく今後も増加傾向にあるのは間違いない。
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オープン系プログラマーとしてマスターすべき言語を紹介してきたが、業務システムを構築するための要件を満たすために、まず「安定性」、それから「高速性」が求められる。なぜ今回紹介したような言語が多く使われているのか、考えてみてもらいたい。
JavaやC言語系の言語はコンパイルといって、コーディングしたプログラムを、一旦機械語に全て翻訳した、実行型式のファイルを作って動作させる。これが安定性や高速性を実現するカギになるのである。
一方PythonやRubyは、翻訳しながらプログラム実行をする「スクリプト系言語」である。最近は、スクリプト系言語も安定性や高速性が改善されているとはいえ、これらの「コンパイル系言語」の方がまだ信頼度が高いといえる。
オープン系システムのプログラマーとして
以上オープン系のプログラマーが学ぶべき言語を紹介してきたが、言語はプログラミングを実現するための手段に過ぎない。業務システムによって、使用される言語も変わる。
言語ごとの特徴を理解して、それぞれのシステムに合った言語が扱えるようになれることを意識して、言語の習得に励んでいこう。
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