いくつかの系統があるプログラマーの世界で、汎用系は未経験からでも十分に可能性がある分野と言えるだろう。
なぜなら汎用系というだけあって、一般事務系処理が多いからである。特に転職者には前職の経験を活かせることも多い。
今回は汎用系でマスターすべき言語紹介を中心に、汎用系システムについて詳しく解説する。
就職に有利なプログラミング言語を講師が紹介|未経験からのプログラマー転職
水瀬当記事は、プログラミング講師が執筆しています。 私はプログラマー転職の講師をしているので、なるべく「就職に有利な」プログラミング言語を紹介するように努めている。 いくら難しい言語をマスターしても、 ...
続きを見る
目次
汎用系とは
簡単に言うと、事務処理向けの大型コンピュータ(メインフレーム)で処理をするシステムや、中規模のオフィスコンピュータを指している。以前からあるシステムという意味で「レガシー」とも言う。
企業向けの販売・仕入管理や、給与計算から、金融系のオンラインシステムまで、事務処理全般、基幹システムを構築していることが多い。様々な事務処理を汎用的にこなすシステムという意味から「汎用系」と言われている。
汎用系で覚えておく言語
以前からある事務処理向けの言語が汎用系では使われていることが多い。Javaに代表されるような、オブジェクト指向の言語が、現在では主流であるが、汎用系向き言語も、時代に合わせて進化している。どのような言語あるかみ見ていこう。
COBOL(コボル)
必要度:★★★★☆
難易度:★★☆☆☆
将来性:★★★☆☆
事務処理向けの代表的言語は現在でもCOBOLである。C言語やJavaのようなオブジェクト指向の言語とは一見無縁のように見えるが、最近では言語機能は拡張され、クラスライブラリの呼び出しなどの対応ができるようになっている。
あくまでも、事務処理向けなのでアセンブラのように、ハード制御ができるような、マシンサイドの言語ではない。なので、未経験者でも学習は比較的容易である。
PL/1(ピーエルワン)
必要度:★★☆☆☆
難易度:★★★☆☆
将来性:★★☆☆☆
古くからある汎用系言語の一つである。商用計算と科学技術計算を両方記述できることで有名である。構造化にも対応しており、プログラミングの効率化が図られている。現在でも使われるが、元々が大規模なシステム開発向けの言語だったため、汎用系システム以外では、ほとんど使用されていない。
一度覚えると使いこなせるまでのスキルアップは比較的短くてすむことから、汎用系向きの言語と言える。
FORTRAN(フォートラン)
必要度:★★☆☆☆
難易度:★★★☆☆
将来性:★★☆☆☆
科学技術計算向けの言語として、その分野では現在でも使われている。また、広く使われるようになった、世界最初の高水準言語としても知られている。初期の仕様から比較すると、その言語体系は飛躍的に進歩しており、現在でもスーパーコンピューターなどで使用されている。
RPG(アールピージー)
必要度:★★☆☆☆
難易度:★★☆☆☆
将来性:★★☆☆☆
RPGとは「Report Program Generator」の略称である。IBM社が開発した独自の言語であり、主にIBM社製のオフィスコンピュータ、メインフレームで使用されている。ビジネス系のアプリケーション開発向けの言語であり、IBM社製のシステム開発に携わるのであれば、必要となる言語である。
以上のように汎用系向きの言語は多いわけではないが、科学技術計算など、計算式の難易度を除けば、言語自体の習得には時間はさほどかからないであろう。また長く使われているだけに、いわゆるライブラリの蓄積数は膨大にあり、コーディング量も少なくできるようになってきている。
汎用系言語の難易度と学習期間
汎用系言語は「高水準言語」と呼ばれるものが多く、難易度的には高くないものが多い。理由は、マシン制御システムなどのように、ハードをコントロールする必要がなく、あくまで事務処理向けシステム用に使われているからである。なので、未経験者でも比較的取り組みやすい言語と言える。
だた、古くからある言語も多く、最新の情報が入りにくい欠点もある、書店に並んでいる入門書などは、C/C++、Java、最近流行のPythonやRubyなどが多く、それに比べると取り扱い数が少ないので、専門書店などに行かないと見つけにくいだろう。
オンラインスクールでは、扱うところは少ないが、学習サイトはあるので、そちらを利用することもできる。
新規や中途採用の場合では、未経験者が事前に言語を学習してから採用ということは少なく、プログラマーの適正があると判断されたら採用となる事が多い。入社後の研修期間で言語を習得して、実務に入るというパターンとなる。
研修期間は3カ月程度で、未経験でも先輩や上司の指導を受けながら仕事ができるようになるだろう。
実際には汎用系のプログラマーは、仕事の都合で他言語から汎用系に異動になった例や、他言語と掛け持ちで仕事をしている例などもある。
汎用系の将来性
汎用系は以前からあるシステム体系を継続・維持させるために、現在でも存続しているシステムである。汎用系に対して「オープン系」という言葉がある。
こちらはクライアント・サーバシステムなどで、WindowsやLinuxなどのOS上で動作するシステムをJavaやC/C++で記述して作成する。
既存のオープンになっているツールを使っている点が汎用系とは異なるので、同じ事務系のシステム開発をしていても、区別されることになる。
古くなった汎用系のシステムを、オープン系に移行するということも行われているが、実際にはあまり進んでいないのが現状である。
その理由は、無理に現状を変更する必要がないということだろう。また、システムを作り直すとなると、開発費用もかかる。費用対効果を考えた場合、それほどメリットがないと判断されているのである。
COBOLやFORTRANも進化しているし、特にシステムに不満がなければ、システム自体はメンテナンスを続けていれば、使い続けることができる。この方がランニングコストも抑えられることになる。そういう意味では汎用系は、まだまだ需要があると見込まれる。
汎用系のメリットとしては大量のデータを高速で処理できるというメリットがある。しかも「バッチ処理」といって、昼間に溜め込んだ大量のデータを夜間、無人の時間帯にまとめて処理することもできる。このような点が大規模システムに向いているので、今でも使われているわけだ。
特に日本は「メインフレーム大国」と言われている。一時期ダウンサイジングの波が広がったが、またメインフレームの良さが認められている傾向にある。汎用系ならではのクローズドの環境が、オープン系と比較してセキュリティ面でもプラスになっている点も見逃せない。
汎用系プログラマーとして
汎用系プログラマーは、オープン系と比べると、地味な存在のように感じるが、やはり無くてはならない存在である。だたし、汎用系専属ということも考えにくい現状もあり、他の言語と平行して開発するということもある。
汎用系で使われている言語は事務系システム向けの高水準言語なので、JavaやC/C++などより取り組み易い反面、他の言語に苦手意識を生みやすい。しかし、最近では汎用系でもJavaやC/C++が使われているケースもある。
汎用系だから、事務処理向けの言語だけできればよいという時代は終わりに近づいているとも言える。汎用系だけに留まることは考えずに、他の言語も使えるようにしていくことが大切である。
就職に有利なプログラミング言語を講師が紹介|未経験からのプログラマー転職
水瀬当記事は、プログラミング講師が執筆しています。 私はプログラマー転職の講師をしているので、なるべく「就職に有利な」プログラミング言語を紹介するように努めている。 いくら難しい言語をマスターしても、 ...
続きを見る
未経験からアプリケーション系プログラマーへ転職「勉強すべきプログラミング言語7選」
未経験者がプログラマーに転職するとして、書店のプログラミング言語の入門書を見て、数ある言語の中でどの言語を学べばよいか悩んでいる人は多いのではないだろうか。 特にアプリケーション系プログラマーを目指そ ...
続きを見る
未経験からオープン系プログラマーへ転職「勉強すべきプログラミング言語6選」
システム開発の仕事は、使用するコンピューター環境によって変化する。プログラミングについても、使用する言語はもちろん、開発するシステムやアプリケーションによって系統が幾つか存在する。 未経験者がプロクラ ...
続きを見る
未経験から組み込み系プログラマーへ転職「勉強すべきプログラミング言語3選」
あまり聞きなれない言葉かもしれないが、システム開発には「組み込み系」と言われる分野がある。 未経験から組み込み系のプログラマーに転職するためには、どのような手順を踏んでいけばいいのか、また覚えなければ ...
続きを見る